医療と福祉の経済システム
こんなの見つけましたよ!!
医療と福祉の経済システム
西村 周三
定価: ¥ 735
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おすすめ度:
発売日: 1997-06
発売元: 筑摩書房
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小泉政権以前に存在した、日本の医療・福祉への医療経済学者からのもう一つの処方箋
小泉構造改革政権による日本社会のセーフティーネットの動揺が、「ワーキングプア」「自治体破産」等々の形で、振り返られる時期を迎えている。
本書は、その小泉政権登場以前の1997年、介護の社会化と何らかの医療改革の必要性が近々の課題として取組に向かう時期に著された。
国民の医療への不満、財政当局が医療・福祉・介護に向ける不満、医療従事者が制度向ける不満等々、それらの不満を生み出す根源を、医療経済学者西村周三が日本社会の文化的伝統を踏まえ尚且つ欧米の医療経済学の知見と各国の医療制度の得失を咀嚼した上で、「市民の教養としての新書」の型式により国民に示し、素人である市民へ選択肢を提示している。
西村は最後に、「いま必要なことは、医療と福祉との共同研究の場を、研究機関でも、また実践の場でも広げることである。」「いまもっとも欠けているのは消費者の満足と専門家の知識のギャップを埋める努力なのである。」と説く。
本書は、既存のイデオロギーにも組せず、官におもねることなく医療経済学者の志の高さを示している。
健全で、前向きです
論点が大変すっきりしています。普通この手の本はあれが駄目だったこれが駄目だった、今度の制度改悪でどうだこうだ、我々は路頭に迷うぞと愚痴と警告を並べるのに終始しがちですが、私達は何としても今の医療水準を維持しなくてはならない。今の医療水準を可能な限り落とさずに、しかも高齢化社会において医療と福祉が破綻しないために何をなすべきなのか。いま本当に必要とされているのはこういう類の議論なんです。内容は大変厳しいですが、発想は健全で前向きです。それにしてもこの本、「日本の医療が危ない」というトンデモ本と同じシリーズの新書とはとても思えない・・・・
基本中の基本
昨今の年金にまつわる多くの物議について、こういうやり方はどうですか、と紐解いている基本中の基本です。社会福祉、医療制度などについては幾たびも理想と現実の狭間において、社会的弱者の救済などが唱えられていますが、実際、社会的弱者についてのカテゴリーが明確でなければその対策はまったく空論でしかありません。まず、こういうところから学んでいくべきではないでしょうか。それと忘れてはいけないのは最初に制度ありきではなく、まず身近に目を向け、「思いやり」のこころを持つべき、ここを強調している良書です。