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人気ランキング: 5121位 |
定価: ¥ 735 |
販売元: 岩波書店 |
発売日: 2006-01 |
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もっと踏み込んで欲しかった。 |
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医療の値段が一体どうやって決まっているのかは、医療従事者にとっても興味あるところである。自由診療を除いては、何せ公定価格なのだから。
中医協を挟んで、厚労省と医師会が綱引きをしている構図は周知であったが、その核心的なところは果たしてどうなっているのだろうかという疑問が常々あった。
本書は、その疑問に「ある程度」応えてくれているものの、議論の追究がいささか「浅い」ようである。
医師会の政治史については詳細に踏み込んでおり、感心するが、やや本論からずれているようである。
感覚に頼った論述も散見され、言葉は悪いかも知れないが、これが大学院生のレポートならば及第点であろうが、やはり浅薄な内容と言わざるを得ない。
代議士にまで直接インタビューを行っている行動力には感心するが、その内容は残念ながら核心的なものではない。
要するに、「もう一踏ん張りして欲しかった」というのが率直な感想である。
なお、DPC(包括的診療報酬制度)については一切の記述はありません。2006年発行の書籍としてはやはり物足りないと言わざるを得ないでしょう。 |
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「医療という政治」を知るにはちょうど良い本。 |
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最近、新書から一般向けのわかりやすさが失われていっているように思う。本筋を言うために何を残し何を省くか、その組み立ての推敲ができていないものが増えた。率直に言えば、本書も例外ではなく、団体名にせよ事実情報にせよ、もう少しすっきりまとめられたはずだと思う。しかし、その点を割り引けば、医療の政治性を具体的事例に即して明らかにしたところは、さまざまな問題を抱え込んだ現在の医療を考えるに当たって、貢献だと思う。誰もがおそらく、医療の向こうにある不透明さを感じているだろう。現場の医師も、患者も、或る意味では同等にその不合理に苦しんでいる被害者である。両者にとって本当に「よい医療」とは何なのだろう。そう考える手がかりを提供してくれる。
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市民参加・監視のための医療経済入門書 |
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市民の眼に触れることなく形成された「医療の値段」形成システムの入門書である。
患者・国民にとってその関心事は、窓口で支払う金額の多寡であり、自分と家族にとっての医療の質に偏る。
しかし、その医療の骨格を形成するのは、政治・行政が司る医療制度であり医療経済である。医療の現場の医療者は、医療制度に組み込まれたコマとして医療提供に携わる。
本書は、その医療提供者の側である日本歯科医師会役員による、診療報酬をめぐる政治家と診療報酬改定の現場である中央社会医療協議会委員に対す違法な資金提供事件によりその闇の一部があぶりだされた事件を一つの契機に編まれた。
市民参加・監視の手薄な分野には、例に漏れず利権が発生し市民の利益から遠ざかる力学が発生する。
一般向け教養書に「医療の値段―診療報酬と政治」が登場する時代の不幸と幸福を考えるとともに、本書を限られた医療資源を効率的に配分するシステムを考える一助にしたい。
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書名から推察されるとおりの内容で、かつ良書。 |
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健康や医療に関心があるひとが、最初に読む本としては良書。この本で興味に知識の裏づけを持ってもらいたい。そしてこの本で診療報酬公定価格の決定の政治をあるていど理解したら、次に医療経済、つまり限られた医療資本をいかに分配する事が、公的医療として善なのかに考察を進めてもらいたい。
立ち読みでは済まない内容の密度と量。
再読するかは読み手の当該領域に対する興味と予備知識次第。私は再読した。
新書なので書棚ではあまり見栄えはしない。
同じ内容を述べている本は他にもあるが、一般向けに書かれている本はそうはない。その意味で代替は利かない本。 |
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ブラックボックスを覗いて見たい人に |
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診療報酬が誰がどう決めているかという素朴な疑問に答える教養書はあるようで無かったと思います。今回の健康保険法や医療法改正の国会審議でも、制度設計の問題より医療費負担といった表層問題の論議に終始した感がありました。それは国民の関心が深いからで、今までの経緯を丹念に追ったこの本は非常に分かりやすく、理解が深まりました。しかし今後どうするかといった将来展望部分は非常に薄く物足りなさを感じました。専門書として期待するのは酷ですが、それでも医療費問題のとっかかりの本として一読する価値を減じるものではないと考えます。 |
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